9. あたまのかたち・ゆがみ
<頭のゆがみ>
あたまのゆがみには、斜頭症、短頭症、長頭症があります。その多くは、産道通過時の圧迫や向き癖など、病気ではない外力によっておこります。向き癖では、頭を常に同じ位置において寝ることで接地面の成長が抑えられて、頭の成長に偏りが生じて、ゆがみの要因となります。
外来では赤ちゃんの頭のゆがみ(位置的頭蓋変形)に対して体位変換、タミータイムの導入などの理学療法を指導しています。早期の理学療法はゆがみの発生をふせぎ、ゆがみの増強を防ぎます。定頚後(3-4か月頃)にもゆがみが目立つ場合には、ヘルメット治療を行ってあたまのかたちを改善していきます。
また病的要因(頭蓋骨縫合早期癒合症)を疑う場合にはレントゲン撮影を行ったりすることがあります。
<治療方法について>
あたまのかたちを改善する方法には体位変換やタミータイムなどの理学療法と、ヘルメット治療などがあります。
1)体位変換
向き癖の改善し、頭にかかる圧力を均等にします。赤ちゃんに接する際に、バランスを意識します。睡眠中の向きが一方向のみにならないようにし、抱っこや授乳時の向き、話しかける方向が偏らないようにします。ポジショニングに用いるタオルの当て方のコツを指導いたします。
2)タミータイム(うつ伏せ運動)
起きているときに赤ちゃんをうつ伏せにして過ごす方法です。腹ばい姿勢にしてからだの発達を促し、また一定箇所への圧力がかかることを防ぎます。まずはお母さんの胸の上に赤ちゃんをうつ伏せにすることから始めます。慣れてきたらマットの上などでうつ伏せ運動を行います。
※窒息を回避するため、目を離さないように注意しましょう。
3)ヘルメット治療
赤ちゃんにヘルメットを装着し、約3-6か月かけて頭の成長を調整する方法です。1998年に米国で初めて医療機器として承認されました。日本では2018年に厚労省に承認されました。
【ヘルメット治療の原理】
ヘルメット治療は、頭に圧力をかけて形を変形させるものではありません。まず、赤ちゃん一人ひとりのあたまのかたちに合わせてオーダーメイドで制作します。頭の平らな部分に空間をつくり成長を促し、早く成長している部分は成長を待機させます。その結果、平らになっていた部分の成長が追いつき、頭の形が整っていきます。

【ヘルメットの実際】
当院ではベビーバンドを導入しています。ベビーバンドは、 日本製の頭蓋形状矯正ヘルメットです。通気性がよく、内側のクッションはやわらかな肌触りで、赤ちゃんのあたまを優しくつつみます。デザインも豊富です。
【対象】
生後3か月(定頸後)〜6か月のお子さま。体位変換やタミータイムなどの理学療法によってもゆがみ度合いが改善せず、医師より説明を受けヘルメット治療を選択された方。
【費用】
33万円(自費診療)※税込
※3Dスキャン撮影費用、ヘルメット(ベビーバンド)制作費用、治療終了までの診察代(最大5回分)を含みます。
【ベビーバンド】
ベビーバンドの詳細は株式会社Berry社のホームページをご確認ください。
