2. 学童期の便秘

 続いて小児で多いのは学童期の便秘です。環境変化の大きい就学時、新学期開始時や、行事などをきっかけに症状がみられ始めることが多いです。この時期の便秘には2タイプあります。
 学童期の慢性便秘でいちばん重症なのは便漏れ(Overflow Incontinence)です。気づかないうちに便が漏れてしまう、パンツにうんちがついてしまうなどの症状です。このタイプは幼児期の重症便秘と同じく、直腸貯留型の便秘で、“二重の悪循環“ による症状です。直腸に溜まった巨大な便塊(便塞栓)のために便意が鈍り、新しいやわらかいうんちがすりぬけて漏れ出てしまいます。治療の基本は便塞栓除去と便性管理です。
 もうひとつは蠕動不良型の便秘です。成人女性に多い便秘と似ています。ストレスや、寝不足などの不規則な生活習慣が続いて自律神経系のバランスが崩れると症状は強くなります。治療の基本は便性・排便管理で、排便日誌をつけながら内服薬を調整していきます。直腸貯留型を合併している場合は、治療に先立って便塞栓除去を行います。またこのタイプは過敏性腸症候群(便秘型)と似ていることがあるため、排便日誌を継続して診断し、症状に応じて内服薬を調整していきます。