2. 外来診療を行う小児外科の病気

続いて外来で診る小児外科疾患についてご案内します。
クリニックで診断または治療可能な小児外科疾患には、以下のような病気があります。

顔面・頸部
・舌小帯短縮症:外来診察で適切な手術適応とタイミングをご案内します。
・耳前部瘻孔、正中頸嚢胞、側頸瘻、梨状窩瘻の感染:胎児期の遺残組織(瘻孔)の感染で発症します。外来超音波検査が診断に有用です。外来通院(または入院)で感染コントロールを行い、待機的手術を行うことが多いです。

食道・胃
・肥厚性幽門狭窄症:本症は生後2-4週に多く発症します。同時期に多い生理的嘔吐との鑑別に外来超音波検査が有用です。

小腸・大腸
・腸重積症:レントゲン検査・超音波検査が診断に有用です。

直腸・肛門
・肛門周囲膿瘍・乳児痔瘻:外来で診断から治療まで行うことが多いです。痔瘻化した場合のみ手術を行うことがあります。
・裂孔・痔核:外来で診断から治療を行うことが多いです。
・便秘症:レントゲン・超音波検査が診断に有用です。外来で治療を行います。

腹壁・臍・鼠径部・精巣
・臍肉芽:臍の緒が脱落する過程で感染を起こして生後1か月までに発症します。外来での処置が可能です(硝酸銀・結紮)。
・臍ヘルニア:生後2-3か月頃より行う圧締療法は外来通院で行える治療です。
・尿膜管遺残・臍腸管遺残:胎児期の遺残組織(瘻孔)の感染で、多くは臍の感染で発症します。外来超音波検査は診断に有用です。
・鼠径ヘルニア・陰嚢水腫・Nuck水腫・停留精巣:主に視診・触診で診断します。超音波検査も有用です。手術適応を見極め、適切な時期の手術をご案内します。

泌尿器・外陰部
・包茎:包茎の全てが治療の適応となるわけではありません。炎症・排尿障害・嵌頓がみられる場合に治療が必要となります。外来通院で軟膏治療(保存療法)を行います。手術は保存療法が無効な真性包茎のみに行います。
・陰唇癒合症:外来通院による軟膏治療(保存療法)で多くが治癒します。