1. 幼児期の便秘(二重の悪循環を中心に)
先に述べたように、小児慢性機能性便秘症は離乳食開始時期・幼児期(トイレットトレーニング期)・就学時期に多くみられます。このうちもっとも多いのが幼児期のトイトレ期です。そしてこのトイトレ期の便秘が最も”二重の悪循環” に陥りやすいです。
便秘の悪循環とは?幼児の便秘は以下の順で進みます。まず図の青の循環に陥ります。体調不良や生活リズムの変化など何らかの原因が続いて、排便間隔があいて硬い便(硬便)がつくられます。硬便の排泄時に痛みや不快感を感じると、排便を嫌がるようになり我慢するようになります。こうして硬便は直腸内にたまりはじめます。
続いて図の赤の循環に陥ります。直腸内に硬便が増えると、直腸壁が伸びてますます硬便を貯めることが可能になります。伸びた直腸の感受性は鈍くなり、便意を感じなくなります。これが二重目の悪循環です。
腸管は伸展可能な臓器なのです。重症便秘の場合、レントゲンを撮ると骨盤いっぱいにたまった巨大な便塊(便塞栓)がうつります。治療により拡張した直腸は縮小しますが、半年から2年くらいかかります。
治療の基本は便塞栓の除去と便性管理です。便塞栓除去(浣腸・摘便・洗腸)はクリニックで行います。その後もご自宅でも継続していただくことがあります。スタッフより指導いたしますのでご安心ください。また便性管理は内服薬で行います。日誌をつけながら調整していきます。
トイトレ期に机の下に隠れたり、部屋の隅でカーテンにつかまったりしていませんか。また排便時に足をクロスさせたりする癖はありませんか。これらは排便の習慣ではなく、排便を我慢する時のポーズ”うんち我慢ポーズ”です。このほかにも、ご家族のみなさまだからこそ気づく”こっそりうんち我慢ポーズ” があるようです。また膀胱炎ではないにも関わらず、日中おしっこが近くなること(頻尿)はありませんか。こられも便秘サインのひとつです。お気づきの症状がありましたらご相談ください。